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日本政府が約18万人の政府職員を対象に生成AI「源内」の大規模実証を開始した。行政専用AI基盤+行政AIアプリ+国産LLM検証を組み合わせた国家AIプロジェクトであり、2026年実証 → 2027年本格導入を目指している。
政府職員18万人が生成AIを利用する実証が開始
今回発表されたのは、政府職員が日常業務で生成AIを活用するための環境「源内(げんない)」の大規模実証です。
対象となるのは、中央省庁を中心とした全府省庁の約18万人の政府職員です。実証期間は2026年5月から2027年3月までとされています。
この取り組みは、日本政府が掲げるAI政策の一環として進められており、政府自らが生成AI活用を進めることで社会全体の生成AI利用を促進することが目的とされています。
政府はAI基本計画の中で
「隗より始めよ」の観点から政府自身がAI活用を先導すると明記しており、まず行政機関で生成AIを日常業務に浸透させる方針を打ち出しています。
ガバメントAI「源内」とは何か
「源内」は政府職員が利用する生成AIプラットフォームです。一般的な生成AIチャットツールに近い機能を持ちながら、行政業務に特化したAIアプリや政府データを活用できる点が特徴です。システムはガバメントクラウド上で運用され、政府専用の生成AI利用環境として整備されています。
源内では以下のようなAI機能が提供されています。
汎用AI機能
- チャット型AI
- 文章生成
- 要約
- 翻訳
- 文章校正
- 情報整理
行政向けAIアプリ
- 国会答弁検索AI
- 法制度調査AI
- 補助金制度調査AI
- 会議記録作成AI
- エクセル変換AI
- 文章校正AI
など、行政業務を支援するAIアプリが多数用意されています。

行政データを活用するAIプラットフォーム
源内の特徴は、政府のデータを活用できる点です。AIは
- 官報
- 法令
- 白書
- 行政マニュアル
- 政府資料
などのデータをもとに回答を生成します。
これにより、単なる生成AIチャットではなく、行政実務を支援するAI業務基盤として機能します。

国会答弁作成AIなど行政特化AIも開発
源内では、行政特化のAIアプリの開発も進められています。代表的な例が国会答弁作成支援AIです。このAIは
- 過去の国会答弁検索
- 政策論点分析
- 答弁草案生成
- 答弁の矛盾チェック
などを行う仕組みです。
政府答弁は膨大な資料や過去答弁を参照する必要があるため、生成AIを活用することで作業の効率化が期待されています。
複数のAIモデルを利用可能
民間の方々からすると、源内の内側のモデルが気になる方も多いのではないでしょうか?源内は複数のAIモデルを利用する仕組みになっています。2025年時点では
- Claude Sonnet
- Claude Haiku
- AWS Nova Lite
などのモデルが利用可能とされています。
また、政府は今後国産大規模言語モデル(LLM)の試用も進める予定とのことで、源内で実際に利用し、行政業務に適したAIモデルを評価する方針です。
政府がAI市場を育てる可能性
今回の取り組みの重要なポイントは、単なる行政DXではない点です。政府は
- 国産AIの育成
- AI関連産業の促進
- AIエコシステム形成
も同時に目指しています。
政府調達を通じてAIモデルを試用し、実運用のフィードバックを企業に提供することで、日本のAI開発力を高める狙いもあります。
まとめ
約18万人の政府職員が生成AIを日常業務で利用する実証は、日本の行政DXの中でも大きな転換点になる可能性があります。
政府が率先してAIを利用することで、行政の業務効率化だけでなく、約18万人と言う規模の大きさゆえに日本国内のAI産業やAI活用の拡大にも影響を与える取り組みとなりそうです。
アメリカと中国の競争とその2大国発祥モデルが日本国内でも圧倒している中、日本のAI政策やAI市場がどう動いていくかの指標の一つとなる注目すべきプロジェクトの一つと言えるでしょう。
writer:宮﨑 佑太(AI経営コンサルタント)

