本記事を10秒でまとめると
生成AIを活用するためのノウハウとして「プロンプト100選」などの情報が数多く出回っています。しかし実務では、完璧なプロンプトを書くことはほぼ不可能です。重要なのは生成AIに状況や背景を理解させる「コンテキスト」です。本記事では、生成AIに質問をさせることでコンテキストを引き出し、より精度の高いアウトプットを得る方法を紹介します。
世の中にあふれる「プロンプト100選」
生成AIが普及するにつれて、「プロンプト集」が世に蔓延してきました。例えば
・コピペで使えるプロンプト100選
・ChatGPT最強プロンプト集
・プロンプトエンジニアリング大全
などです。
企業のマーケティングでも、こうした「プロンプト集」をダウンロード資料として配布し、リード獲得に活用しているケースが増えています。
しかし、実際に生成AIを業務で使ってみると、多くの人が次のような壁にぶつかります。
「プロンプトを真似しても、思ったような結果にならない」
これは珍しいことではありません。むしろ、多くのケースで起こります。
完璧なプロンプトは存在しない
生成AIを使う際、ある程度慣れてくると多くの人が「できるだけ正確なプロンプトを書こう」と考えます。しかし実際には、完璧なプロンプトを書くことはほぼ不可能です。なぜなら、生成AIの出力は次のような情報に大きく依存するからです。
・目的
・背景
・対象読者
・前提条件
・制約条件
これらを最初からすべて言語化するのは非常に難しく、多くの場合はプロンプトは次のどちらかの問題を抱えます。
プロンプトが短すぎる場合
→ 情報不足になり、生成AIが推測で補完する
プロンプトが長すぎる場合
→ 生成AIが重要そうな部分だけを拾って処理する
結果として
「イメージと違うものが生成される」
という状況が生まれます。そしてその結果
「生成AIはあまり役に立たない」
という印象を持ってしまう人も少なくありません。
しかし実際には、生成AIの問題ではないケースがほとんどです。多くの場合、問題は
生成AIに状況が伝わっていないこと
にあります。
つまり、この世に溢れるプロンプト集やテンプレート集のほとんどはそのまま使ってもあなたの思い描く状況やイメージを伝えきれず無用の産物なのです。
プロンプトエンジニアリングからコンテキストエンジニアリングへ
これまで生成AIの使い方として
「プロンプトエンジニアリング」
という言葉がよく使われてきました。
これは
「どのようなプロンプトを書くと良い出力が得られるか」
という考え方です。
しかし現在、生成AIの活用では
コンテキストエンジニアリング
という考え方が重要になっています。
つまり
「どんな指示を書くか」
ではなく
「生成AIにどんな状況を理解させるか」
が重要なのです。
生成AIは与えられた情報を元に出力を生成します。
そのため、生成AIに状況や背景を理解させることができれば、出力の精度は大きく向上します。
最も簡単な方法:生成AIに質問させる
では、生成AIに状況を理解させるにはどうすればよいのでしょうか。
最も簡単な方法は
AIに質問させること
です。例えば次のような違いです。
悪い例
イベントチラシを作ってください。
良い例
イベントチラシを作りたいです。
その前に必要な情報があれば質問してください。
この方法を使うと、生成AIは必要な情報を質問してきます。
例えば
・イベントの目的
・対象者
・開催日時
・開催場所
・訴求ポイント
などです。
こうして生成AIと対話をしながら情報を整理することで、より精度の高いアウトプットを得ることができます。
生成AIに状況を理解させる質問例
生成AIに質問させる場合、次のような書き方が便利です。
① 必要な情報が不足している場合は、まず質問してください。
② 提案する前に、前提条件を理解するための質問をしてください。
③ 最適な回答をするために、まず状況を理解する質問をしてください。
④ 認識のズレを防ぐために、確認すべき点を質問してください。
⑤ より精度の高いアウトプットにするため、必要な情報を質問してください。
⑥ 状況整理のための質問をしてください。
⑧ 表面的な回答にならないよう、まず質問をしてください。
これらは絶対にどれかを利用しましょうということではありません。あくまで、生成AIに状況や背景を伝え生成したい管生物のイメージを擦り合わせるためのきっかけにすぎません。
生成AIは「実行者」ではなく「パートナー」
生成AIを使う際、多くの人が
「AIに指示を出す」
という感覚で使っています。
しかし実際には、生成AIは
対話ツール
として使う方が効果的です。
AIと対話しながら
・目的
・背景
・前提条件
を整理していくことで、より良いアウトプットが得られます。
多くの場合、出力が不十分なのは
AIが役に立たないのではなく
AIとの対話が足りないだけ
です。
生成AIは日々性能は向上しています。ですが、まだ伝えてきれていない情報を空気を読んで補完するには時間がかかります。よくいう「生成AIを使いこなせていない」状況の大半はこの状況です。
生成AIはプロンプトを「全部読んでいる」とは限らない
生成AIを使うとき、多くの人が次のように考えています。
「プロンプトをできるだけ詳しく書けば、生成AIはすべて理解してくれる」
しかし実際には、生成AIは必ずしもプロンプトを人間のように順番に丁寧に読んでいるわけではありません。
現在の多くの生成AIは、入力された文章をトークンという単位に分解し、重要そうな情報の関連性を元に処理を行います。
この仕組みは「アテンション(Attention)」と呼ばれるもので、文章のすべてを均等に理解しているというよりも、重要度が高いと判断された部分に重点を置いて処理する特徴があります。
そのため、プロンプトが長くなりすぎると
・生成AIが重要だと判断した部分だけを強く参照する
・一部の指示が弱く扱われる
・文脈がうまく整理されない
といったことが起こります。
もちろん、生成AIは入力された文章を完全に無視しているわけではありません。
しかし人間のように「最初から最後まで論理的に読んで理解する」わけでもありません。
結果として
・プロンプトを丁寧に書いたのに意図が伝わらない
・一部の指示が反映されない
といった状況が生まれます。
これは生成AIが不完全だからというよりも、生成AIの仕組みそのものによる特性です。
そのため、長いプロンプトで生成AIを完全にコントロールしようとするよりも、
・必要な情報をAIに質問させる
・対話を通じてコンテキストを整理する
という使い方の方が、結果として精度が高くなるケースが多いのです。
まとめ
生成AIを活用するために重要なのは完璧なプロンプトを書くことではありません。重要なのは、生成AIに状況を理解させること。
そのための最も簡単な方法が
生成AIに質問をさせること
です。
生成AIをただの「実行者」ではなく「パートナー」として使うことで、アウトプットの質は大きく変わります。
未だにプロンプト集をフックに営業をしている企業は、コンテキストエンジニアリングという概念もなく生成AIを使いこなせない企業かもしれません。そのような企業に騙されることなくより生成AIを使いこなす方法が気になる場合は是非我々まで一度ご相談ください。
より最適な生成AIの活用方法を学びたい方へ。
自社だけで整理しきる前に、まずは論点を壁打ちするだけでも前に進みやすくなります。
writer:宮﨑 佑太(生成AIアドバイザー)

