本記事を10秒でまとめると
先日リリースされたRakuten AIは、ChatGPTやGeminiのようなファンダメンタルモデルとは立ち位置が少し異なる。楽天が提供する日本語特化型AIであり、楽天経済圏との連携やEC・購買体験の最適化を主な目的として設計されている。
SNSで話題になっている「完全な新規モデルではないのか」という疑問についても調査した。
RakutenAIとは
Rakuten AIは、楽天グループが開発・提供する生成AIです。楽天の各種サービスと連携することを前提として設計されています。
楽天はこれまでにも
- 楽天市場のレコメンドAI
- 楽天トラベルの価格最適化AI
- 楽天カードの不正検知AI
など、ECや金融を中心にAI活用を進めてきました。Rakuten AIはそれらの技術基盤を統合し、ユーザー向けのAIアシスタントとして提供するものです。

特徴としてよく挙げられるのは次の3点。
1.日本語特化
海外LLMは英語中心に学習されていますが、Rakuten AIは日本語利用を前提にチューニングされています。ビジネスメールや敬語など、日本語特有の文章生成を重視しているとされています。

2.楽天経済圏との連携
楽天市場、楽天トラベル、楽天カードなど、楽天の各種サービスと接続されています。AIが商品検索や旅行予約などの意思決定をサポートする「購買エージェント」の役割を担います。
3.ECデータを活用したパーソナライズ
楽天は国内最大級のECデータを保有しています。レビュー、購買履歴、価格変動などのデータをAIが活用することで、ユーザーごとに最適な商品提案が可能になると考えられています。
ChatGPTやGeminiとの使い分け
Rakuten AIは、ChatGPTやGeminiと競合するというより、用途が異なります。
整理すると次のような位置付けと言えるでしょう。
| AI | 主な強み |
| ChatGPT | 汎用AI(思考・文章生成・プログラミング) |
| Gemini | 汎用AI(Google検索・Workspace連携) |
| Rakuten AI | コマースAI(購買・楽天サービス連携) |
Rakuten AIの使いどき
上記に示したように、ビジネスでの利用というよりは日常利用に向いています。特に例えば
楽天経済圏をよく使う人
- 楽天市場
- 楽天トラベル
- 楽天カード
などを日常的に使うユーザーにとっては、AIが購買判断をサポートしてくれる可能性があります。
商品比較をよく行う人
- コスパの良い家電
- ポイント還元率の高い商品
- レビュー評価の高い商品
などをAIにまとめてもらう使い方です。
ECをよく利用する人
ショッピングを中心としたAIアシスタントとしての利用が想定されます。
逆に、すでにChatGPTやGemini、Claude等を使いこなしているユーザーからすると
- プログラミング
- 高度な文章生成
- AIエージェント開発
といった用途では、現時点ではChatGPT等のfundamentalモデルの方が適しています。
SNSで話題になっている点
Rakuten AIは発表後、SNSで話題になっているのが、
「完全に新しいLLMではないのではないか」
という指摘です。結論からいうと、RakutenAIは
中国発「DeepSeek-V3」系をベースに日本語最適化させたファインチューニングモデルです。
ここで重要なのは、DeepSeekだから危険と安直な見方をすべきではないことです。
基盤がDeepSeekで日本人に最適化するためにファインチューニングすること自体は大きな問題はありません。実際にLlama系 / DeepSeek系 / Mistral系といったオープンモデルをベースに企業独自のチューニングを行うケースは増えてきています。商用可能で無償提供するためにはGPTやgemini系統よりも安価に作れることも間違いありません。
一方で、このRakutenAIは経済産業省とNEDOによる助成金:GENIACを利用しており最大5億円もの助成金が補助されています。
ファインチューニングしただけのものを「国産最大級AI」と主張して良いのか
税金で国産AI開発をするはずが、実態はファインチューニングにすぎなくて良いのか
DeepSeekのMITライセンスファイルを隠したままで良いのか
この辺りが炎上している最大の要因でしょう。

まとめ
Rakuten AIは、ChatGPTやGeminiと同じファンダメンタルモデルとして見るのではなく、
楽天経済圏のためのAIアシスタントとして捉えましょう。
また、SNSではモデルの中身について議論もありますが、AIサービスの価値はモデルそのものだけでは決まりません。確かに、見せ方や補助金の活用の是非については議論が尽きないかとは思いますが、今後のポイントは、楽天市場や楽天トラベルなどのサービスとどこまで深く連携できるかです。
すでに一定程度の規模を有する楽天経済圏、もし購買や生活サービスとAIが密接に統合されれば、Rakuten AIは「日本の生活AI」として独自のポジションを築く可能性もあります。
writer:宮﨑 佑太(生成AIアドバイザー)

