ブラウザが賢い部下に!Genspark AIブラウザの自律エージェント
本記事を10秒でまとめると
GensparkがAIブラウザを公開!Webページを理解し、動画要約などを自律的に支援する「AIエージェント」が常駐。単なる検索ツールを超え、Web上のあらゆる作業を代行する次世代ブラウザの実力を解説します。
GensparkのAIドライブ機能とは
Genspark AIブラウザを理解する上で欠かせないのが、その頭脳であり、情報の保管庫でもある「AIドライブ」機能です。これは単なるクラウドストレージではありません。
「競合他社の最新のプレスリリースを全て集めて整理して」といった指示一つで、AIエージェントが自律的にWeb上を検索・巡回し、収集したファイル(PDF、画像、動画など)を自動で分類・保存してくれるインテリジェントなドライブです。AIブラウザがWeb上で収集・処理した情報は、すべてこのAIドライブと連携し、一元管理されます。
Web版Gensparkとの違い
Web版Gensparkが特定のウェブサイト上で対話や資料生成を行う「目的地」であるのに対し、Genspark AIブラウザは、Web全体のブラウジング体験にAIエージェントが常駐し、常にユーザーをサポートする「乗り物」です。
最大の違いは、Gensparkが「今ユーザーが見ているページ」の文脈をリアルタイムで理解し、先回りしてサポートを提案してくれる点です。Web版のように毎回Gensparkのサイトを開いて指示を出す必要はなく、あらゆるWebサイト上でシームレスにGensparkの支援を受けられます。
他の生成AI系ブラウザとの違い
ChatGPTに代表される対話型生成AIのブラウジング機能や、他のAIブラウザとの最も大きな違いは、Gensparkが「自律型AIエージェント」として設計されている点です。
- ChatGPTエージェントなど: ユーザーが「〇〇を調べて」と指示を出すと、その指示に従ってWebを検索し、結果を報告する「指示実行型(リアクティブ)」です。
- Genspark AIブラウザ: ユーザーの行動を理解し、「このYouTube動画、要約しましょうか?」「このECサイトの商品、もっと安いところを探しましょうか?」とGenspark側から作業を提案する「常駐支援型」です。
つまり、Genspark AIブラウザは、単に質問に答えるだけでなく、ユーザーの「部下」や「アシスタント」のように振る舞い、Web上でのあらゆる作業を代行・効率化してくれるのです。
実際にやってみた
この「常駐支援型AIエージェント」の実力を、YouTubeの動画視聴で試してみました。
【ステップ0:ブラウザを起動】

まず、PCにインストールしたGenspark AIブラウザを起動します。Macの場合は下のDock、Windowsの場合はデスクトップやスタートメニューから開きます。
※初めて使用する場合は、Gensparkの公式サイトから、お使いのOS(Mac/Windows)に合わせたインストーラーをダウンロードする必要があります。
【ステップ1〜3:AIとの対話と自律的な再検索】
トップ画面の「スーパーエージェント」に、今回は「Gensparkの公式Youtubeチャンネルについて教えて」と質問してみました。

すると、Web版と同様に対話が始まります。

しかし、最初の検索で公式ではない情報が多くヒットしたためか、AIが自ら「公式情報のみに絞って再検索します」と判断し、自律的に検索をやり直してくれました。 これぞまさにエージェントです。

【ステップ4:Webページとの連携】
AIが提示してくれた動画のリンクをクリックすると、新しいタブでYouTubeが再生されます。

ここからがGenspark AIブラウザの真骨頂です。画面右側に、現在のページ(YouTube)の文脈を理解したスーパーエージェントの操作パネルが自動で表示されます。 今回は「ビデオコンテンツの要約」というボタンが表示されたので、これを押してみます。
【ステップ5〜6:再生不要の「見る」YouTube体験】

ボタンを押すと即座に、今開いている動画の内容をAIが要約し始めました。 つまり、Genspark AIブラウザを使えば、長い動画を再生しなくても、数秒でその内容をテキストで把握できるのです。
さらに、この動画の内容に関するスライドやポッドキャストの自動作成、動画内容に関する質疑応答など、あらゆる二次利用がワンクリックで可能になります。情報収集のあり方が根本から変わる体験です。

まとめ
Genspark AIブラウザは、従来の「Webページを見るための道具」というブラウザの概念を覆し、「Web上のあらゆるタスクをAIエージェントと共に処理する作業空間」へと進化させた革命的なツールです。
Gensparkが常に隣にいて、私たちの目的を理解し、先回りして仕事を手伝ってくれる感覚は、一度体験すると元には戻れません。
ただし、一点注意が必要です。無料版で利用できるのは100クレジット/日となっており、今回のようにGensparkとの対話や要約機能を一度でも利用すると、その日のクレジットをほぼ使い切ってしまうことがあります。
本格的に活用するには、有料プランへのアップグレードを検討する必要があるでしょう。
今後のビジネスでの展望
Genspark AIブラウザの登場は、ビジネスにおける情報収集や分析のあり方を大きく変えます。
- 市場・競合調査の自動化: これまで人間が何時間もかけて行っていた、競合他社のWebサイト巡回、プレスリリースの収集、SNSでの評判調査といった作業を、Genspark AIブラウザで閲覧しながら「定期的に調査してレポートして」と指示するだけで自動化できます。
- コンテンツ制作の効率化: 複数の参考記事や動画をGenspark AIブラウザで開くだけで、スーパーエージェントがそれらの内容を即座に要約・分析。ブログ記事の構成案や、SNS投稿のドラフトを自動で作成し、コンテンツ制作の初動を劇的に高速化します。
- 営業・マーケティング活動の高度化: ターゲット企業のWebサイトをGenspark AIブラウザで見ながら、スーパーエージェントがその企業のIR情報や最新ニュースを自動で収集・要約。より深く、タイムリーな情報を基にした営業アプローチが可能になります。
私たちは今、自ら情報を「探しに行く」時代から、優秀なAIエージェントに「任せる」時代への移行期にいます。Genspark AIブラウザは、その新しい働き方を体現する、最も強力なツールの一つとなるでしょう。
writer:宮﨑 佑太(生成AIアドバイザー)