【ChatGPT】GPT Image 1.5 vs Nano Banana Proー今、業務で選ぶべき画像生成AI

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本記事を10秒でまとめると

GPT Image 1.5 が登場し、画像生成AIの覇者:Nano Banana Pro を、日本語テキスト・図解・画像編集という3テーマで実際に比較したところ、現時点では Nano Banana Pro が総合的に安定しており、業務用途では第一候補になるという結果になった。

本記事では、実験結果をもとに「なぜそうなったのか」「どう使い分けるべきか」を紹介。


OpenAI社の画像生成ツールとは

OpenAIの画像生成は、もともと DALL·E 系モデルとして提供されてきました。その後、ChatGPT への統合が進み、画像生成・編集機能は GPT Image(gpt-image 系)として再整理されています。

現在の GPT Image は、単なる「画像を生成するAI」ではなく、

  • 既存画像の編集
  • 部分的な修正
  • 連続的な指示によるブラッシュアップ

といった制作工程に組み込むことを強く意識した設計になっています。


今回のアップデートとは

今回登場した GPT Image 1.5 は、GPT Image 1 系の後継にあたるアップデートとなっており、「新しい画像生成AIの登場」というよりは、既存基盤の改良となります。

特に強調されているのは、

  • 指示追従性の向上
  • 編集・変換の品質改善
  • ChatGPT 上での操作体験の整理

といった点となります。

では、実際の業務でどこまで通用するのか。Gemini の Nano Banana Pro と同条件で比較検証を行ってみました。


実際に比較してみた

比較① 日本語テキスト入り画像

日本語テキストの正確性は、業務利用において最も基本的かつ重要な要素となります。

今まで日本語が文字化けして実際には使えないという体験をした方も多いのではないでしょうか。

ここでは、年末キャンペーン用のシンプルなポスターを生成し、文字の正確性とレイアウトを比較しました。

プロンプト

「A4縦のポスター画像を作成してください。背景は白です。

上部中央に大きく、次の文字を配置してください。「年末キャンペーン」

中央に、次の文字を配置してください。「全品 20%OFF」

下部に、小さな注釈を2行入れてください。「※対象外商品があります」「※12/31まで」

フォントは読みやすいゴシック体。

誤字脱字を一切出さないでください。

文字の内容を勝手に変更・補完しないでください。

余白は広め、装飾は最小限にしてください。」

GPT Image 1.5(追加指示後の生成物)    


Nano Banana Pro(初回生成物)

結果

Nano Banana Pro は、文字の誤りや崩れがなく、注釈まで安定して再現されました。一方 GPT Image では、フォントや雰囲気は悪くないものの、日本語テキストの信頼性という点で差が出ています。

実際に日本語の誤植を追加指示で修正依頼しても上記の画像が出てきます。

比較② 図解・構造的レイアウト

次に、資料作成を想定した3ステップの業務フロー図を生成しました。ここでは「それっぽさ」ではなく、構造を正確に守れるかを重視してみましょう。

プロンプト
「16:9サイズの業務フロー図を作成してください。背景は白です。
左から右へ、矢印でつながる3つの箱を配置してください。
箱のラベルは、左から順に「収集」「整形」「可視化」

各箱の下に、1行ずつ説明文を入れてください。
「収集:情報を集める」「整形:要点を整理する」「可視化:資料としてまとめる」
すべて中央揃え。箱のサイズと間隔は均等にしてください。装飾的なアイコンやイラストは不要です。」

GPT Image 1.5(追加指示後の生成物)    

Nano Banana Pro(初回生成物)

結果

Nano Banana Pro は、一撃で箱・矢印・説明文の関係が崩れず、資料としてそのまま使える品質でした。GPT Image は意味的には正しいが、構造物として見ると指示に忠実ではなく、日本語も実用レベルではありません。

比較③ 既存画像の編集・連続差分修正

最後に、人物写真を用いて背景変更・服装変更を行い、編集耐性を確認しました。

この領域は本来 GPT Image が強いとされる分野となります。

プロンプト1

「この画像の被写体は一切変更せず、背景だけを「明るいオフィス」に変更してください。

被写体の形、表情、構図はそのまま維持してください。」

プロンプト2

「背景はそのままに、被写体の服だけを「ネイビーのジャケット」に変更してください。

それ以外の要素は変更しないでください。」

GPT Image 1.5(プロンプト1)        

GPT Image 1.5(プロンプト2)

Nano Banana Pro(プロンプト1) 


Nano Banana Pro(プロンプト2)

結果

今回の条件では、Nano Banana Pro の方が人物や構図の一貫性を保ったまま編集できており、かつ背景もよりリアルに生成できています。GPT Image では、編集を重ねるごとに人物や服装の再解釈が入り、差分編集というより再生成に近い挙動が見られました。


なぜこの結果になったのか

今回の結果は、「GPT Image が劣っている」と捉えるのは尚早です。GPT Image は英語での指示や「ここだけ変えて、他は絶対に変えるな」という強い制約条件で本領を発揮しやすい傾向があります。

一方で、Nano Banana Proは画像を構造物として扱うのがうまく、さらに日本語処理は圧倒的に優れており現段階で日本語ユーザーにとって明確にGPT Image 1.5が優位になるシチュエーションはかなり限定的であるのが現状です。

実際に、英語で指示をしても現状Nano Banana Proで十分であるのが現状です。


まとめ

今回の比較から導かれる結論は明確で、現時点の業務用途では、Nano Banana Pro を第一選択にするのが合理的です。

  • 日本語テキスト
  • 図解・表・資料
  • 編集を含む一般的な制作工程

これらの多くで、Nano Banana Pro は安定した結果を出しました。

一方で GPT Image 1.5 は、

  • 英語プロンプト
  • 強い制約条件を伴う差分編集
  • クリエイティブ寄りの試行錯誤

といった 限定された場面では、今後評価が変わる可能性があります。

先日のOpenAI社のコード・レッド後瞬く間にGPT-5.2を発表し世界を震撼させたのは記憶が新しいと思います。Geminiを利用できず、ChatGPT環境しか使えない人は信じて待つのもありかもしれません。

参考:【ChatGPT】GPT-5.2 Proは何が“別次元”なのか?

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writer:宮﨑 佑太(生成AIアドバイザー)

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この記事を書いた人

生成AI・教育コンサルタント
株式会社NEDLAB 代表取締役
株式会社SAKI COO
青楓館高等学院 Probono Menter

学校法人河合塾や株式会社リクルートで新規事業開発に携わった後に起業。教育・HRコンサルティングと事業開発支援事業を手掛ける。2023年からは生成AIを活用した事業開発・導入・運用支援事業を開始し、EdTech・HRTech企業や地方自治体を中心に数十社の支援も行う。現在、複数社でDX顧問・生成AIアドバイザーを務める。

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