【画像生成AI界の黒船】nano-banana徹底実践!画像は「生成」から「対話」の時代へ

  • URLをコピーしました!
目次

はじめに:そのバナナは、世界を変えるか?

この数週間、生成AIやテクノロジーに関心のある人々の間で、一つのコードネームが瞬く間に話題を席巻しました。その名は「nano-banana」。

「また新しい画像生成AIか」と思った方もいるかもしれません。しかし、これは単に美しい絵を生成するだけのツールとは一線を画します。私たちが画像と向き合う方法そのものを根本から変えてしまう可能性を秘めた、「画像編集の革命」とも呼ぶべきゲームチェンジャーです。

本記事では、このnano-bananaの正体から、何がそんなに革命的なのか、そして今回、AIインサイトが実際に行った3つの具体的な活用事例を交えながら、私たちのビジネスやクリエイティブにどのようなインパクトを与えるのかを徹底的に解説します。

nano-bananaの正体:Gemini 2.5 Flash Image

まず結論から言うと、「nano-banana」は、Googleが2025年8月26日に発表した最新の生成AIモデル「Gemini 2.5 Flash Image」の愛称(コードネーム)です。

このモデルは、Googleの誇る大規模言語モデル(LLM)「Gemini」の高度な言語理解能力と世界知識を、画像生成・編集技術に統合したものです。「Gemini」を使えば誰でも無料でこの最新技術を無料で試すことができます。

何が革命的なのか?従来の画像生成AIが越えられなかった「壁」の破壊

nano-bananaは、従来の画像生成AIが抱えていた大きな課題、特に「キャラクターの一貫性」「修正の難しさ」という壁を破壊しました。これまでは一度生成した画像の一部を変更しようとすると、他の部分まで崩れてしまうのが当たり前でした。しかし、nano-bananaはチャット形式で対話しながら、指示した箇所だけを正確に、かつ自然に修正できるのです。


【実践】nano-bananaはこう使う!3つの実例で見る「編集革命」

百聞は一見に如かず。ここからは、私たちが実際に試した3つの活用事例を通して、nano-bananaの実力をご覧ください。

ケースA:AIインサイトの「イメージキャラクター」を対話で創り上げる

目的:メディアの顔となる、一貫性のあるオリジナルキャラクターをAIで作成する。

【ステップ1:基本キャラクターの生成】 

最初に、ベースとなる女性の画像を生成しました。非常に自然な日本人風の女性が生成され、クオリティの高さに驚かされます。ここからがnano-bananaの真骨頂です。

【ステップ2:メガネの追加】

顔の他のパーツや服装、背景は一切崩さず、本当にメガネだけを自然に追加してくれました。従来のAIでは、この時点で全くの別人になってしまうことがほとんどでした。

【ステップ3:服装の変更】

驚くべきことに、ジャケットの下にあるシャツだけを、指示通り「白の襟付き」に変更できました。ジャケットの質感や影の落ち方まで完璧に維持されています。

【ステップ4:シーンとポーズの変更】

キャラクターのアイデンティティを保ったまま、全く新しいシーンとポーズへ。背景が変わっても、服装が変わっても、「この人だ」と分かる一貫性は見事です。

【ステップ5:画風の変更】

最後に、写真からイラストへと画風の変更を指示。写実的な特徴を残しつつ、温かみのある水彩画風のキャラクターが完成しました。

【ケースAの結論】

nano-bananaは、チャット形式で対話しながら、キャラクターの一貫性を完全に保ったまま、細部からシーン、画風まで自由自在に修正できます。 これにより、ブランドアセットやコンテンツのシリーズ化が誰でも可能になります。


ケースB:複数素材を組み合わせて「プレゼン資料」を一枚絵にする

目的:手元の素材(人物、構図案、スライド)を組み合わせて、リアルなプレゼンテーション風景の画像を生成する。

【ステップ1:素材の準備】 用意したのは以下の3つです。

  1. 人物:ケースAで作成した女性キャラクター
  2. 構図案:手書きのラフスケッチ
  3. スライド画像:実際の業務データ

【ステップ2:統合を指示】

【ケースBの結論】

驚くべき結果です。nano-bananaは、①人物の特徴、②手書きの構図、③スライドの内容、という3つの異なる情報を完璧に理解し、一つの自然な画像に統合しました。

特に注目すべきは、モニターに映し出されたスライドです。日本語のテキストやグラフが一切崩れることなく、高精細に再現されています。これは、Geminiの高度な言語・画像認識能力の賜物であり、ビジネス資料の作成において絶大な威力を発揮します。


ケースC:既存の画像に「ピンポイント」でロゴを合成する

目的:商品画像などの既存の写真に、後からロゴなどを自然に差し込む。

【ステップ1:ベース画像の生成】

まず、ロゴを入れたい対象物があるベース画像を生成します。

【ステップ2:ロゴの差し込み】

【ケースCの結論】

見ての通り、マグカップの曲面や光の反射まで考慮して、ロゴが極めて自然に合成されています。Photoshopなどの専門ツールでマスク処理をする必要は一切ありません。

自然言語の指示だけで、これほど精密なインペインティング(部分修正・描画)が可能です。ECサイトの商品写真に名入れをしたり、広告ビジュアルにブランドロゴを追加したりといった作業が、数秒で完了します。


まとめ:生成AIとの「共同作業」時代の幕開け

今回ご紹介した3つの事例は、nano-banana(Gemini 2.5 Flash Image)が持つ能力のほんの一端に過ぎません。

この技術の登場は、単なる高性能なツールの出現ではありません。生成AIに「描かせる」時代から、生成AIと「対話しながら創り上げる」という、新しいクリエイティブ時代の幕開けを告げています。

これまで専門的なスキルと高価なソフトウェア、そして多くの時間が必要だった画像編集のプロセスが、誰もがチャット一つで、しかも無料でアクセスできるようになったインパクトは計り知れません。

この技術は、間違いなくビジネスにおけるビジュアルコミュニケーションのあり方を一変させるでしょう。まずはGeminiにアクセスし、お手持ちの写真でその”魔法”を体験してみてください。きっと、あなたのビジネスを加速させる新たなインスピレーションが湧いてくるはずです。

writer:宮﨑 佑太(生成AIアドバイザー)

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

シェア
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

生成AI・教育コンサルタント
株式会社NEDLAB 代表取締役
株式会社SAKI COO
青楓館高等学院 Probono Menter

学校法人河合塾や株式会社リクルートで新規事業開発に携わった後に起業。教育・HRコンサルティングと事業開発支援事業を手掛ける。2023年からは生成AIを活用した事業開発・導入・運用支援事業を開始し、EdTech・HRTech企業や地方自治体を中心に数十社の支援も行う。現在、複数社でDX顧問・生成AIアドバイザーを務める。

目次