噂のSakana Chatとは?Namazuモデルの正体とChatGPTとの違い

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本記事を10秒でまとめると

Sakana AIが公開した「Sakana Chat」は、既存のLLMに事後学習を施した「Namazu」モデルを搭載したAIチャットです。

性能そのものではなく“出力の中立性・検閲耐性”を再設計している点が特徴で、ChatGPTやGeminiとは異なる役割を持つ新しいカテゴリの生成AIです。


Sakana Chatとは何か

Sakana Chatは、Sakana AIが開発した「Namazu」モデルを搭載した生成AIチャットサービスです。Web検索機能が統合されており、リアルタイム情報を取得しながら回答を生成することができます。

主な特徴としては以下が挙げられています。

  • Web検索連携による最新情報取得
  • 日本語・日本社会への適応
  • 中立性・網羅性を重視した回答設計

一見するとChatGPTやGemini、Perplexityと同様の生成AIチャットに見えますが、設計思想が大きく異なることで得られる成果も少し変わってきます。

現段階では無料で利用可能です。以下のURLからSakana Chatを開くだけで利用できます。


https://chat.sakana.ai/

見た目はChatGPTやGeminiなどの生成AIのチャット画面と同様ですが、よくみると背景に魚が泳いでいます。


実際にやってみた

チャット欄の「+」ボタンを押すと、「ファイルをアップロード」「ウェブ検索」「思考」の3種類が選択できます。

通常利用であれば「ウェブ検索」、高度な推論をさせたい時は「思考」モードの利用をお勧めします。また、「ファイルをアップロード」は現段階ではPC上のファイルのみアップロードが可能で、GoogleDrive等の外部連携はできません。

また、「+」の横で「標準🐟」「丁寧🐠」「大阪🐙」と3つの選択肢があります。

「標準🐟」:ChatGPTでいうinstant、Geminiでいう高速モード
「丁寧🐠」:ChatGPTでいうThinking、GeminiでいうPro

として使い分ければ良いのですが、謎の「大阪🐙」モードはというと

と、なんと大阪弁でしゃべるモードも選べます。

なお、推論の深さや丁寧さは「標準🐟」とほぼ同じ程度ですので、「標準🐟」の内容を大阪弁に翻訳した感じとなります。

いくつかSakana Chatの特徴がわかる実験をしてみます。

web検索がデフォルトでついているのでもちろん最新のニュース等のリサーチも有効ですが、今回は意見が別れるテーマやバイアス検証を中心に行います。


実験1:意見が分かれるテーマ

このように、ChatGPTなどと比べてもバランス型の出力が出やすくなっています。

実験2:バイアス検証

このように地政学系でも優位性があります。逃げずに様々な角度から中立的に説明してくれる点も優れています。


Namazuの正体

良さそうだけど、ChatGPTやGeminiから乗り換える必要はあるのか?という疑問を持たれた方も多いのではないでしょうか?その答えを説明するためにまずはSakana Chatに搭載されているモデル「Namazu」について説明します。

Namazuは、ゼロから開発されたモデルではなく、DeepSeekやLlamaなどのオープンウェイトモデルをベースに、Sakana AIの事後学習技術を適用したモデルです。

つまり、ベースは既存の高性能モデルであり、そこに事後学習によって出力の調整を行ったという構造になっています。

重要なのは、これは単発の技術ではないという点です。Sakana AIはこれまでも生成AIに間する様々な革新的な研究を行っており

  • 文脈を意味的に再配置する「RePo(Context Re-Positioning)」
    →ノイズの多い情報や長い文章でも高性能に
    https://pub.sakana.ai/repo/
  • 文脈長を拡張する「DroPE(Dropping their Positional Embeddings)」
    →超長文でも性能が落ちない
    https://pub.sakana.ai/DroPE/

といった「後付けでモデルを最適化する技術」を公開しています。

つまりSakana AIはモデルを作る会社ではなく、モデルをより使いやすく“再設計している会社”と捉えるのが正確です。

これにより、先ほどの実験でも少し紹介した出力に特徴が現れます。具体的には、

  • 中立性
    政治・歴史などのテーマにおいて、特定の立場に偏らない設計
  • 検閲回避
    従来のモデルで見られる、回答を避ける / 曖昧にするといった挙動を抑制
  • 日本適用
    日本における表現の自由や文脈に合わせた調整

がChatGPTやGeminiよりも優れていると言えます。


結論としては、ChatGPTやGeminiといったファンダメンタルモデルとは役割が違うため、

  • ニュース・社会問題の整理
  • 意見が分かれるテーマの比較
  • 海外情報のバイアス確認
  • リサーチの一次整理

といった思想が絡む生成や中立性や検閲耐性が求められる時には、Sakana Chatを利用するというスポットでの調整役というのが現状の使いどきと言えます。


まとめ

Sakana AIが出す新モデルだからこそ大きな期待を寄せていた方々も多かったからこそ、拍子抜けしたという声も耳にします。

ですが、ファンダメンタルモデルの性能がある程度飽和し、オープンモデルも普及したことでエージェント競争が激化している昨今においてSakana Chatの登場は新たな一石を投じたとも言えます。

モデル性能やエージェントの自律性ではなく、LLMの出力の在り方を再設計している点は大変興味深く、最近生成AI界隈を盛り上げ続けているClaudeと同様に思想の強さが我々に恩恵をもたらす可能性を秘めています。

OpenAI社がSora撤退などのニュースにもある通り、手当たり次第に開発していくのではなく、強固な思想のもとに開発されたモデルが今後生成AI市場を切り開いていくのかもしれません。

writer:宮﨑 佑太(生成AIアドバイザー)

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この記事を書いた人

生成AI・教育コンサルタント
株式会社NEDLAB 代表取締役
株式会社SAKI COO
青楓館高等学院 Probono Menter

学校法人河合塾や株式会社リクルートで新規事業開発に携わった後に起業。教育・HRコンサルティングと事業開発支援事業を手掛ける。2023年からは生成AIを活用した事業開発・導入・運用支援事業を開始し、EdTech・HRTech企業や地方自治体を中心に数十社の支援も行う。現在、複数社でDX顧問・生成AIアドバイザーを務める。

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