2026年01月19日|発行:サンデーAI編集部
今週の生成AI NEWS
- Googleが「Personal Intelligence」機能をGeminiに追加
- Google、AI動画生成ツール「Flow」をWorkspaceに追加サービスとして提供開始
- OpenAIが脳コンピュータインターフェース新興企業に投資、AIとヒトの融合加速へ
- OpenAI、ChatGPTで広告表示を試験導入へ発表
- ChatGPT Translateが登場、Google翻訳と直接競合へ
今週は「新しいモデルが出た」「性能が上がった」という話題よりも、生成AIが“前提インフラ”として組み込まれていく動きがはっきり見えた1週間でした。
個別の機能追加に見えても、その裏では「誰がユーザーとの接点を握るのか」「生成AIはどこまで個人に入り込むのか」という、より大きな競争が進んでいます。
今週のAIニュースダイジェスト( 5 件)
Googleが「Personal Intelligence」機能をGeminiに追加
GoogleはGeminiに「Personal Intelligence」を追加し、Gmail、Google Photos、検索履歴、YouTubeなど、個人のGoogleサービス横断データを文脈として活用する方向性を明確にしました。ユーザーの許可を前提としつつ、“その人を理解した生成AI”へ一歩踏み込む形です。
ここがミソ!: これは単なる精度向上ではなく、「検索」「メール」「Gemini」が分断されていた状態を終わらせに来た動きです。業務でも“個人文脈込みAI”が当たり前になる前兆と言えます。
Google、AI動画生成ツール「Flow」をWorkspaceに追加サービスとして提供開始
Googleは動画生成AI「Flow」をGoogle Workspaceの追加サービスとして提供開始しました。テキスト指示から業務用動画や説明映像を生成でき、管理者制御も可能です。
ここがミソ!: 動画生成が“クリエイター向けツール”から“業務資料作成の延長”に降りてきました。PowerPointやDocsと同じレイヤーで動画を扱う前提が整いつつあります。
OpenAIが脳コンピュータインターフェース新興企業に投資、AIとヒトの融合加速へ
OpenAIが脳コンピュータインターフェース(BCI)領域のスタートアップに投資していることが報じられました。直接的なプロダクト発表ではありませんが、「AIをどう操作するか」というUIの次の段階を見据えた動きです。
ここがミソ!: 今すぐ実用という話ではありません。ただしOpenAIが“入力装置の未来”まで射程に入れていること自体が重要です。
OpenAI、ChatGPTで広告表示を試験導入へ発表
OpenAIはChatGPTにおいて広告表示の試験導入を行う方針を示しました。回答そのものではなく、関連枠として表示される形が想定されています。
ここがミソ!: 「無料で高性能なAI」が永続する前提が崩れ始めました。AIもまた“メディア化”していくフェーズに入ったと見るべきです。
参考記事:ChatGPT広告の衝撃 —— 企業が今すぐ準備すべき3つの「備え」

ChatGPT Translateが登場、Google翻訳と直接競合へ
OpenAIは翻訳専用機能「ChatGPT Translate」を展開し、多言語翻訳の精度と文脈調整を強化しました。従来の翻訳サービスと正面から競合する動きです。
ここがミソ!: 生成AIが「便利な付加機能」ではなく、「既存の定番プロダクトを置き換える存在」になり始めています。
参考記事:ChatGPTが新翻訳機能をリリース|翻訳から始まる新体験が可能に

注目トピック解説
トピック1:Apple、Gemini AIをSiriの新基盤に採用か

※画像はイメージです
AppleがSiriの次期基盤として、GoogleのGeminiを採用する可能性が報じられました。現時点では正式発表ではないものの、複数の海外メディアや業界関係者の証言が重なっており、「単なる噂」と切り捨てるには材料が揃いすぎている印象です。
この話題の本質は、「AppleがGeminiを使うかどうか」ではありません。より重要なのは、Appleが生成AI時代における“音声アシスタントの位置づけ”をどう再定義しようとしているのかという点です。
Siriは長年、Appleの象徴的存在でありながら、生成AI時代に入って急速に存在感を失ってきました。理由は明確で、単発の命令処理や定型応答を前提とした設計が、文脈理解・推論・生成を前提とする現在の生成AI体験と根本的に噛み合わなくなったからです。
Apple自身もその問題を認識しており、オンデバイスAI、プライバシー重視設計、自社モデル開発など、複数のアプローチを模索してきました。しかし結果として、「十分に賢いSiri」をスピード感を持って世に出せていないのが現実です。
そこで浮上したのがGeminiの採用です。Geminiは、検索・マルチモーダル・長文推論を前提に進化してきたモデルであり、Siriが抱えてきた弱点を一気に補える存在でもあります。
もしこれが事実だとすれば、Appleは「すべてを自社で完結させる」という従来の哲学よりも、「体験を止めないこと」を優先した判断を下したことになります。
これはAppleにとって小さな方針転換ではありません。AIが“機能の一部”だった時代から、“OSレベルの前提”に変わったことを、Apple自身が認めた瞬間とも言えます。
Siriは単なる音声UIではなく、今後はアプリ横断・タスク横断の「入口」になります。その入口の知能を外部モデルに委ねるという決断は、生成AI時代のプラットフォーム競争が次の段階に入ったことを強く示しています。
「このニュースを見て企業が学ぶべきは、「内製か外注か」という二元論ではありません。重要なのは、顧客体験を止めない意思決定ができるかどうかです。
生成AIは、研究開発競争の段階を超えて、すでにUX競争のフェーズに入っています。完璧な内製AIを待つ間に、顧客体験が陳腐化すれば、その損失は取り返しがつきません。Appleほどの企業ですら外部モデルを検討するなら、多くの企業は「まず使い、検証し、切り替えられる設計」を持つべき段階に来ていると言えるでしょう。
つまり、「生成AI時代に、完成度主義は成立するのか」という問いに対し、完璧を待つより、まず出す。ユーザーと一緒に育てる。その発想に切り替えられるかどうかが、今後あらゆるプロダクトの明暗を分けることをAppleが示したとも取れます。」
トピック2:Metaが大規模AIインフラ戦略「Meta Compute」を発表

※画像はイメージです
Metaが発表した「Meta Compute」は、単なるAI投資計画ではありません。今後10年単位で、計算資源・データセンター・エネルギー確保まで含めてAIを“社会インフラ”として握りにいくという、極めて野心的な宣言です。
この発表の重要な点は、新しいAIモデルやプロダクトの話がほとんど出てこないことにあります。Metaはあえて、「何を作るか」ではなく「作り続けられる基盤」を前面に出しました。
これは、生成AI競争がすでに“短距離走”ではなく、“資本と体力の長距離戦”に入ったという認識を示しています。
これまでの生成AIブームでは、モデル性能やデモの派手さが注目されてきました。しかし実際には、安定稼働、推論コスト、電力、冷却、法規制対応といった地味な要素こそが、継続的なAI提供のボトルネックになります。
Meta Computeは、そのすべてを先回りで押さえにいく戦略です。
特に注目すべきは、Metaがこれを「広告事業の延長」としてではなく、「次の基盤産業」として語っている点です。SNS企業というイメージが強いMetaですが、実態はすでにAI研究・計算資源・OSS戦略を含めた総合プレイヤーに変わりつつあります。
この動きは、スタートアップや中小企業にとっては脅威にも見えますが、一方で「すべてを自前で持つ必要はない」という現実も浮き彫りにします。
巨大企業がインフラを握る時代に、どこで差別化し、どこを委ねるのか。その設計力こそが、今後の競争力になります。
「Metaは過去に派手な失敗も繰り返してきましたが、インフラ投資だけは一貫しています。ただし、資本力で押し切る戦略が常に正しいとは限らない。
巨大企業が基盤を独占するほど、イノベーションの入口は狭くなります。Meta Computeが業界全体を健全にするのか、寡占を強めるのかは、今後の使われ方次第と言えるだろう」
「Meta Computeは「未来の話」ではなく、「すでに始まっている現実」を言語化したものです。
生成AIはブームではなくインフラになりました。この前提をどう受け止めるかで、企業の戦略も、働き方も、大きく変わっていくでしょう。」

