【Gemini】Gemini 3 高速モードとGPT-5.2 Instantを“実務目線”で使い比べてみた

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本記事を10秒でまとめると

Gemini 3 に新たに追加された「高速モード」を、GPT-5.2 Instantと実際の業務タスクで使い比べてみた。結果、定型的な要約や社内文書の初稿作成ではGemini 3 高速モードのスピード感が際立つ一方、指示を厳密に守り、余計な解釈を挟まない点ではGPT-5.2 Instantに安心感があることが分かった。

今まで以上に用途に応じた使い分けが重要になっている。


Gemini 3とは

Gemini 3 は、Google が提供する最新世代の生成AIモデルで、文章生成・要約・情報整理など、日常業務から知識作業まで幅広い用途を想定して設計されています。検索やGoogle Workspaceとの親和性を意識した位置づけも特徴で、実務利用を前提とした進化が続いています。

Gemini 3 では、用途に応じて複数のモードが用意されており、大きく分けると以下のような使い分けになります。

  • 高速モード(Fast):素早い応答を重視。軽量タスク向け
  • 思考モード(Thinking):複雑な問題解決や整理向け
  • Pro:高度な数学・コード・深い思考向け

今回の記事で扱うのは、新たに登場した「高速モード(Fast)」です。


 今回のアップデート

 今回のアップデートで注目されているのが、Gemini 3の高速モード(Fast)です。
このモードは、モデルの思考深度を抑える代わりに、応答速度とテンポの良さを最大化する設計になっています。

実際のUIでは、入力欄右下にあるモード選択から「高速モード(Fast)」を選ぶことで利用できます。

この切り替えにより、要約や短文生成、社内文書の下書きといったタスクで、待ち時間が大きく短縮されます。

高速モードが表示されない場合

環境によっては、最初から高速モードが表示されない場合があります。その場合は、以下を確認してください。

  • Gemini のモデルが Gemini 3 になっているか
  • 右下のモード切替メニューを開いているか
    ※一部アカウントでは段階的ロールアウトの可能性あり

特に「思考モード」や「Pro」が表示されている場合でも、メニューを展開すると高速モードが選択できるケースがあります。表示されない場合でも不具合とは限らず、提供タイミングの差である可能性が高いです。


 実際にやってみた

 今回の比較では、実務で生成AIを使う際によく発生するタスクを想定し、同一のプロンプトを Gemini 3 高速モードと GPT-5.2 Instant に入力し、出力内容と応答時間を比較しました。

評価は「どちらが賢いか」ではなく、業務で使ったときに何が違うかに焦点を当てています。

テスト1:制約付き要約(情報整理系)

試した内容

業務文脈の文章を「200字以内・箇条書き禁止・重要論点を含める」という制約付きで要約。

出力の違い

  • GPT-5.2 Instant (処理時間:約 9.9秒)
    条件を厳密に守り、情報密度の高い要約を出力。余計な意見は含めない。
  • Gemini 3 高速モード (処理時間:約 6.8秒)
    要約に加え、「今後どうすべきか」といった論評・提案が自然に混ざる。

要約というより「要約+見解」まで踏み込むかどうかが明確に分かれました。

テスト2:会議メモの整理(構造化タスク)

試した内容

走り書きの会議メモを「決定事項/未決事項/次のアクション」に整理。

出力の違い

  • GPT-5.2 Instant (処理時間:約 7.4秒)
    元メモに忠実。確定していない内容は慎重に「未決事項」に配置。
  • Gemini 3 高速モード (処理時間:約 3.0秒)
    「実質的に決まっていそうな内容」も含め、読みやすい議事録に再構成。

Geminiは“使える議事録”を作りにいき、GPTは“正確な整理”を優先しました。

テスト3:曖昧な指示(最も差が出たケース)

試した内容

「以下の内容を、社内共有用にいい感じでまとめてください」という曖昧な指示。

出力の違い

  • GPT-5.2 Instant: (処理時間:約 5.5秒)
    現状整理に留め、判断は人に委ねる構成。
  • Gemini 3 高速モード: (処理時間:約 5.9秒)
    Slack向け/文書向けなど、用途別に構成案を展開。

速度の差はほとんどないが、「どこまで踏み込むか」という思想の差が大きく出ました。

テスト4:社内向けお知らせ文(短文生成)

試した内容

新機能リリースに関する100字前後の社内告知文。

出力の違い

  • GPT-5.2 Instant: (処理時間:約 2.8秒)
    必要最低限の情報に絞った簡潔な文章。
  • Gemini 3 高速モード: (処理時間:約 1.3秒)
    補足文や次のアクションを自然に追加。

テスト5:メリット・注意点の即時整理(判断補助)

試した内容

短文を読み、「メリット」と「注意点」をそれぞれ2点ずつ整理。

出力の違い

  • GPT-5.2 Instant (処理時間:約 3.1秒)
    シンプルで業務資料に転用しやすい。
  • Gemini 3 高速モード (処理時間:約 2.5秒)
    表現がやや丁寧で、説明寄り。

実験から見えた違い

今回の実測を通じて明確だったのは、次の点です。

速度面:

明確なタスクほど Gemini 3 高速モードが一貫して速い。

出力の性格

Gemini 3 高速モード:「完成形」まで作りにいく。憶測や仮説を含むリスクはあるがそれっぽものをつくるのは上手。

GPT-5.2 Instant:

指示を守り、判断を人に残す。さっとライトなものを作る時には少しラリーが必要。

使い分けの判断軸

単純な処理速度ではなく、

「AIにどこまで踏み込ませたいか」 が選定基準になる。


まとめ

今回の比較から見えてきたのは、推論モデル同様「どちらが優れているか」ではなく、役割の違いです。

明確な差があるからこそ、使い分けの判断軸としては以下を提案します。

Gemini 3 高速モード

  • 応答が速い
  • 完成形を素早く出したい場面に向く
  • 社内共有文・議事録・初稿作成に強い

GPT-5.2 Instant

  • 指示遵守と制御性が高い
  • 誤解を避けたい文書に向く
  • 判断材料の整理に強い

生成AIは、高速モデルであっても単純な性能競争のフェーズを越え、「生成AIにどこまで踏み込ませるか」を設計 / 判断する段階に入っています。

速さを取るか、制御性を取るか。その前提を意識するだけで、生成AIの使い勝手は大きく変わります。逆に、意図せず使うことでリスクを含みますのでやはり生成AI時代はユーザーのリテラシー次第であると言えるでしょう。

writer:宮﨑 佑太(生成AIアドバイザー)

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この記事を書いた人

生成AI・教育コンサルタント
株式会社NEDLAB 代表取締役
株式会社SAKI COO
青楓館高等学院 Probono Menter

学校法人河合塾や株式会社リクルートで新規事業開発に携わった後に起業。教育・HRコンサルティングと事業開発支援事業を手掛ける。2023年からは生成AIを活用した事業開発・導入・運用支援事業を開始し、EdTech・HRTech企業や地方自治体を中心に数十社の支援も行う。現在、複数社でDX顧問・生成AIアドバイザーを務める。

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